ステップワゴンは派手なミニバンがはびこる中で落ち着いたデザインと走りの良さが光る
掲載 更新 carview! 文:伊藤 梓/写真:編集部
掲載 更新 carview! 文:伊藤 梓/写真:編集部
高速道路などを運転しているときに、後ろからいかめしい顔をしたミニバンが迫ってきているのを見つけると、いつもドキッとして自然と道を譲ってしまう。いつからミニバンは「顔面が強い方が偉い」という暗黙のルールができてしまったのだろう。
最近ではオフロードでも安心して走れそうなちょっと無骨なデザインが良かった三菱デリカD:5も、今回のモデルチェンジで「顔面力」の塊になってしまい、個人的にはそれがとても残念だった。しかし、私の心を癒してくれる日本のミニバンがひとつだけある。それが「ホンダ ステップワゴン」だ。今回その「標準モデル」に試乗した。
ステップワゴンはミニバンの中でも柔らかいデザインで、女性でも親しみやすい。さらに今回の試乗車はミルクグラス・パールという淡いグリーンのボディカラーで、女性だけではなく男性が乗っても似合う絶妙な色だと感じた。
クルマを所有すると車内で過ごす時間は長くなるので、個人的には室内はあまり主張のないデザインで、なるべくゆったりとすごせる空間がいいと思っている。その点ステップワゴンはギラギラした装飾はないし、室内の木目調のパネルやブラウン内装の組み合わせなど、あたたかみがあって落ち着く。
少しだけ残念なのは、ステップワゴンのホームページを覗くと、ノーマルモデルではなく装飾や装備などが豪華になった「スパーダ」が前面に出ていること。マイナーチェンジ前にはスパーダも元々の綺麗なデザインも残しつつ豪華になっていたのだが、今では「顔面力」競争に屈してしまったようだ。
こういった強めのデザインのミニバン需要が高いのは分かるが、優しくて落ち着くデザインのノーマルモデルのことも忘れないでほしい。そしてユーザーの皆さんにも本当に「顔面力」のデザインが必要かどうか今一度考えてみてほしい。とくに家族で使うのであれば「奥さまが乗っても似合うのかどうか?」を冷静に見てもらえたら、今のミニバンの「顔面力」競争も少しは和らぐのではないだろうか。
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